働かないアリと売れないセールスマン

北海道大学の長谷川英祐准教授がアリ150匹を人工の巣で1ヶ月間観察したところ、約8割は餌集めや掃除に励む働きアリだが、あとの2割はただ歩く、ボーとしていて働かないというそぶりが目立ったという。働き者だけを集めて観察してもやはり同じ割合で働かないアリが確認された。
 長谷川教授によると、アリは働かないのではなく働けないのだという。巣の汚れや餌の不足など一定の刺激がないと働き始めるスイッチが入らないからだ。反応できる感覚はそれぞれに異なるため『怠け者』もいるように見える。ただ巣では、例えば卵は常に舐めていないと腐ってしまうように仕事は絶えない。普段働かないアリは、働き者が疲れて休むと『代打』として活躍する。敵の侵入など不測の事態に対応できる。働かないアリの存在は巣を維持するために備わった知恵のようだ。(読売新聞より)
 ここで私が経験した不動産屋の営業現場を思い出した。20人の営業が毎日飛込み別荘地を売りに出掛け、そのうち4人~5人は成績を目標通りに上げる。残りの者のうち10人程度はまあまあの成績を上げるが、あとの5人~6人はほとんど成績なし。そこで下位の5人を解雇すれば人件費を支払わなくて済みそうだなどと考えて5人を解雇した。ところが成績は2ヶ月後に丁度2割ぐらい落ちてしまった。いくら営業の尻を叩いても成績が上がらない。仕方なく5人の新人を入社させると数か月後に成績がもとに戻ったことがあった。
売れない営業員の行動を詳しく観察してみると成績が良い営業員のお手伝いをしていることがわかった。例えば契約書を作ったり、運転手や営業事務、プライベートの届け物など秘書、雑用を務めていることが分かった。それからは人数を増やして教育することに努め成績が上がるようになりました。決して売れない営業員は無駄飯ぐらいではなく、存在価値があるのです。
 人間より先だってアリの方が早く気がついていたのでした。経営者となるとボーとしている社員がいると不愉快になることが多いが、決して無駄ではないこと、何か役立つことや時があることを理解しました。アリさんと長谷川教授に感謝。

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