中国不動産事情

昨年10月、広東省南海市に住む中国の友人が不動産仲介業を始めた。50歳近い年齢にて彼の不動産経歴が全くないのを知っている私は驚いたが、国情の違いもあるし、どんなもんかと今年の1月になって中国旅行の雲南省、菜の花畑の名所羅平と石林の見学の帰りに立ち寄った。事務所に入ってみると間口4m、奥行9m、奥にトイレ、机5卓、ソファー、パソコン1台のみ、昨年10月に開業なのに既に契約4件だと、彼は全くの素人で社員一人アルバイト二人を営業員と使いオール歩合とのことでした。この付近の分譲マンション団地は大体、1団地1,000戸ぐらいの規模のが多い。この事務所も大通りに面していてこの大団地の一部です。不動産の営業の許可証は今の処なし、そのうち取るんだと涼しい顔、全く不動産の知識なし、付近100m以内に約50件もの仲介業の事務所あり。他にもう一軒店を出したいとのこと。彼の隣の空テナントだったのが昨日から同業者入店にて内装工事の始まりでもあった。さてあらたな店舗をもう一軒出すための候補地に同行した。一ヶ所目は約1千戸から一千五百戸の大分譲団地ですでに半分ぐらい入店していて周囲に店舗も新規開店として増加中、建築中の現場も土音高らかに工事車の激しい出入りや工事関係者も出入り激しくこれからという処だった。別の二ヶ所目はすでに完成した分譲マンションで規模はやはり千戸ぐらいでセンターには飲食店、美容室、不動産仲介業者の店舗が揃っている。私は質問してみた。初め見た団地がどうして作業中のマンション団地のそばに仲介店舗を出すかを聞いてみた。答えはこうだ。南海市の分譲マンションの買手の50%は投資向きに売れて、それも個人よりこの地では外国資本、石油マネー、他市の商店連合会、無論中国の成金事業者などがこぞって10戸20戸と買うのだそうです。そして少しでも値上りするとすぐ売却益を得る為に売却するとのこと。そこで仲介業者の存在が必要となるのです。なるほどなるほど、日本とは大違いだ。大違いをあと二つほど。手数料は売手から2%のみ、それでもこの南海市の分譲マンションの価格は日本円で約100㎡で500万円~1,000万円ですから手数料は10万円~20万円です。物価水準は日本の約10分の1ですから日本での価値だと100万円~200万円の収入ですから悪くない収入です。取引も手付金などの習慣はなし全額一括払い鍵と共に明渡し法務局で取引です。間違いはない取引だが取引日の突然キャンセルなど当たり前。私の友人も不動産の取引、知識経験もなく開業ですからいい度胸だが他店の50店舗も同じようなものだそうです。それでも今年の3月に免許をとったとの報告がありました。野菜や食料品を売る感覚で始めてしまうのだ。前述の投資用に買う人が多いということは必ず値上がりすると言う市場の確認保証の客付けがあるからで、現実に日本の高度成長時のように右肩上がりがずっと続くと思われているからだ。いつかは日本のバブル崩壊後の長期低迷時代が来るかもしれないが・・・・・・・。ところが中国政府はあまりの不動産バブルが激しいので新しい法律を作り公告した。背景には貧団層がいつまでたっても住宅を持てなくなり社会不安が生じるおそれがあるから政府として手を打たざる得なくなったのです。その方法は不動産を2戸以上持ってはいけない。二つ以上買ってはいけない。投資用として買手に入れることができなくなってしまったのです。今まで二つ以上持っている人は、一つを残して全部売りなさい。そのかわり売却差に対する税金は一切免除するという大胆な制度です。日本のぬる菅総理大臣に聞かせやりたいぐらいだ。北京の友人は億ションを五つ持っていたがこの制度に引っかかった。売却した金はどうしたかまだ聞いていない。さて広東省の友人はどうしたか、政府の制度が出た途端取引、今年6月まで全く0件、やめようかどうか迷っていいるとのこと。多分付近の50軒の仲介業者も同じだろう。他の中国の友人から言わせると、このような事は中国では度々生じている。不動産業者にかかわらず、政府の発表する政策があれば地方では対策があるといわれているが、そのうちこの不動産仲介業の50軒も近いうちにあっと言う間に店が消えるだろうと。

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